研究概要 |
NH_3のH_2とN_2への解離を抑えることで不安定なNH_3が得られるが,このNH_3が高い窒化能の,水素化能力を持つことを理論的に確めた。このことを実験的に確証するため,当該年度はまず,1.U+NH_3(気流),2.U+N_2(気流)の反応を400-900℃の温度範囲で行った。これらの反応から同一温度では1の反応で得られるウラン窒化物U_2N_3のN/U比が大きいこと,即ち,NH_3を気流として用いてその解離を抑えると高い窒素活量が得られることが確められた。 有力な核燃量候補であるUNはU_2N_3の高温熱分解で得られる。このU_2N_3と2UC+(3/2)N_2=U_2N_3+2Cの反応で作成することが提案されているが,この際温時に生じる炭素をH_2との反応でCH_4として除去しなければならない。このため1200℃以上の温度が必要である。本研究ではNH_3のもつ高い水素化能力に着目し,CとNH_3気流の反応によるCH_4の生成に関する実験的研究を600-900℃の温度範囲で行った。その結果900℃でもNH_3気流を用いれば炭素をCH_4として除去することができることがわかった。即ち,UC+NH_3の反応を利用すれば,900℃でも炭素を含まないウラン窒化物を得ることができる。 また,低い温度(300℃以下)で適当な反応容器を用いれば,NH_3を気流にしなくても,閉鎖系でNH_3の解離を抑えることができる。本研究ではウランとNH_3の閉鎖系での反応を250-300℃で行い,反応に伴うNH_3,H_2,N_2,の分圧の変化,生成物のX線回折による個定を行いNH_3の窒化能力を調べた。 その結果これらの低い温度でもNH_3を用いればU_2N_3の生成が可能であることが確認された。ウランとN_2の反応ではこれらの温度では全く反応が進行しないことも実験的に確めた。
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