研究概要 |
本研究では、秋田県六郷扇状地を例に、扇央の地下水涵養域と扇端の地下水利用域の2地点に深さの異なるピエゾメータを置いて、地下水位変動のモニタリングに関する研究を行った。3次元の地下水流動を把握するために、ピエゾメータによる水理水頭の観測と測水による地下水面の観測を併せて行った。観測と分析の結果は以下のとおりである。 (1)a.扇状地の不圧地下水を対象とする、深さの異なるピエゾメータ(P)間には、水理水頭差が明瞭に現れる。b.ピエゾメータ間の水理水頭は、年間を通して扇央、扇端とも、深度の浅いピエゾメーターから深度の深いピエゾメータに移るにしたがって低下する。c.深度別の水理水頭差は、地下水位の上昇期と下降期とで異なる。d.以上の内容をまとめると次のとおりである(平成3〜5年度ともほぼ同じ観測結果)。 Pの深度間 扇央 扇端 上昇期,5/20 下降期,9/15 上昇期,5/20 下降期,9/15 20〜50m 1.50m 0.70m 0.15m 0.05m 20〜100m 7.59 5.44 (7.99) (7.30) 50〜100m 6.09 4.74 (7.84) (7.25) (2)ピエゾメータと測水を併行させた水理水頭の観測および分析の結果、3次元の地下水位年変化パターンが明らかにされた。この結果が、モニタリングおよび今後さらに発展させる「地下水位予報」の研究の最も基礎的な必要要件となる。
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