研究概要 |
大陸と島弧の火山体の地形・発達史の特徴が,空中写眞や2万5千分の1あるいは5万分の1地形図の判読から得られた地形分類図をもとに,比較され,検討された。この研究は世界の火山すべてについて行う予定であるが本研究ではおよそ3割程度が達成された。したがって全体的な結論をまとめるには時期尚早で,得られたいくつかの事実のみを列挙するに止める。 1.ギリシャの火山はHellenic海溝からの沈み込みで生じた火山とされているが成層火山はなく,火砕丘・溶岩円頂丘の集合体である火山が多い。 2.メキシコ中央部火山帯はスコリア丘.溶岩円頂丘.小楯状火山.成層火山.カルデラ火山など,ほとんどすべてのタイプの火山が一堂に会する世界でも類を見ない地域である。沈み込みとホットスポットの組み合わせがこのような火山地域をつくったかに見える。 3.フィリピン北部のルソン島では日本と似た成層火山が多いが,南のミンダナオ島では小楯状火山.スコリア丘も混在し,単なる沈み込み帯ではなく,ホットスポットとの組み合わせを考える必要がある。 4.南米アンデス山脈中央部,チリー・ペルー・ボリビア・アルゼンチン国境付近の火山は厚い溶岩流・溶岩円頂丘の累重体である。ここは地殻が70kmの厚さを持つと古くから知られた地域で,異常な地殻の厚さが火山体のタイプに反映していることを示唆するように見える。 全体として大陸・島弧の各々で火山のタイプに差違があり,両者を単純に比較するだけではすまない。今後さらにデータを増やして,より詳細な議論が行えるように研究を進める予定でいる。
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