研究概要 |
富士火山や東伊豆の大室山単成火山群・伊豆諸島の完新世テフラを調査し、これらのテフラ累層中から考古学的な発掘によって発見された人類遺跡の遺物・遺跡との層位関係を明らかにした。その成果の要約は次の通りである。 1.伊豆半島東部の伊東市三の原遺跡では,厚さ3〜4mの褐色風化火山灰層が分布し、上位から大室山スコリア層、鬼界ーアカホヤ火山灰層、小室山スコリア層、姶良Tn火山灰層、地久保スコリア層の4枚の示標テフラが認められた。このうち鬼界ーアカホヤ火山灰を狭んで、大室山スコリア層と小室山スコリア層の間の層準から、縄文草創期・早期・前期の遺物が発見された。 2.千葉市神門遺跡は村田川低地に立地する数少ない縄文時代早・前期の遺跡である。この遺跡では、自生と考えられるオキシジミと廃棄された貝殻に混じって茅山式(縄文早期後半)と・黒浜式(縄文前期中葉)の土器が出土する。オキシジミについて ^<14>C年代測定を行い、テフラ試料について鬼界ーアカホヤ火山灰を検出するために鉱物分析、屈折率測定を行ったほか電子線マイクロアナライザ-による分析を検討中である。 3.伊豆半島南部の蛇石火山・大池で、約6mのボ-リングを行ない、カワゴ平軽石層、鬼界ーアカホヤ火山灰、姶良Tn火山灰を採取し、これらの示標テフラの年代を明らかにするために、ボ-リング・コア(泥炭)について ^<14>C年代測定を行った。このうち,カワゴ平軽石層については中部日本に広域に分布することが明らかにでき、縄文後期から晩期にかけての土器形式との層位関係を調査した。 4.以上の成果を総合して、火山活動史と考古学編年に関する考察を行なった。
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