研究概要 |
報告者が最近、血管内皮細胞由来の強い血管収縮活性をもつペプチドエンドセリンや、一連の神経毒ペプチドに共通して、ーCysーXーXーXーCysー,ーCysーXーCysーのアミノ酸配列をもつ二組のペプチドフラグメントが存在し、それらが互いにジスルフィド結合で結ばれているとき、ーCysーXーXーXーCysーの部分がαーヘリックス構造をとり、ーCysーXーCysーの部分がβーストランド等の伸びた構造をとる事を見出した。そしてこの配列が一種のαーヘリックス形成の為のモチ-フと考え、CSHーモチ-フと命名した。本研究ではまずXの位置に存在するアミノ酸残基の種類に何らかの法則性があるか否かを調べるために、X位を置換したペプチドを化学合成した。すなわち以前に行った構造解析からC末端部分が比較的自由に運動していることが分っていたので、エンドセリンのC端5残基を除いた骨格部分16残基のモデル化として、ヘリックス部分はLeu,Glu,Gln,Lysを用いて両親媒性とし、伸びた部分には天然と同じSerを用い、両者をDーAlaーPro配列のβータ-ン構造により連結した。このモデルペプチドのCDスペクトルと二次元NMR解析を使った。現在詳細な立体構造を求めている途上にあり、天然のものとの比較検討を行う。エンドセリンには4種ソペプチドが存在するほかに、イスラエル穴蛇の毒液に含まれる4種類の血管収縮作用を持つサラホトキシンと非常に高い相互性が知られていて、これらに対して2種類の受容体がクロ-ニングされている。これら全てのペプチドがCSHーモチ-フを持つが、そのヘリックス構造を持ちNMRとディスタンスジオメトリ-法による構造解析では互いの差違を見出せなかったが、今回温度、溶媒等を変化させ詳細にCDスペクトルを解析した結果、受容体への結合能の違いに対応して構造が異なることを見出した。更にある種の放線菌から得られるこの受容体に対するアンタゴニスト活性をもつ環状ペプチドの構造を解析し結合部位を検討した。
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