研究課題/領域番号 |
03680235
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
瀬川 新一 関西学院大学, 理学部, 教授 (70103132)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1992年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 蛋白質の構築原理 / タンパク質の折りたたみ / Protein Folding / Rrotein Folding / 蛋白質の折りたたみ / チトクロームc / 分子構造の進化 |
研究概要 |
アミノ酸配列から立体構造を予測するためには、蛋白質の立体構造を構成するさらに小さな構築単位を実験的に研究することが必須であるという立場から、我々は蛋白質を断片化し、その構造を分光学的に研究することを始めた。リゾチーム分子を小断片に分解し、そのCDスペクトルを測定した。一般に水溶液中では、ランダムコイル状態のペプチドのCDスペクトルが観測されるが、これにトリフロロエタノール(TFE)を徐々に50%(体積)程度まで加えていくと、断片ペプチド鎖は、θ_<222>の絶対値が急速に増大するものと、ほとんど変化を示さないものの二つのグループに分類される。TFE添加によって、特に顕著なヘリックス形成を示す断片鎖は、リゾチームの天然立体構造のA-、B-とC-ヘリックスにちょうど対応しているという興味ある事実を見い出した。つまり、リゾチームの天然立体構造において、ヘリックス構造をとるアミノ酸配列部分は、小断片にしてもヘリックス形成能が高いという相関関係である。もしこの規則がリゾチームに限らず他の蛋白質でも成り立つ一般的規則ならば、立体構造未知の蛋白質のヘリックス領域を実験的に予測することが可能になるだろう。そこで我々は、ツナ・チトクロムcを種々の小断片ペプチド鎖に分解し、同様の測定を行った。断片ペプチド鎖(1-21)H、(56-73)と(91-103)では、TFE添加によってヘリックス特有のスペクトルを急速に回復することが明かとなった。すなわち、チトクロムcの場合も、「断片鎖の状態でヘリックス形成能が高いものは、天然立体構造のヘリックス領域に現れる」という規則が成り立つ結果と成った。また、この研究の途中、チトクロムcのエクソン対応ペプチド断片に近い、2つの大きな断片鎖が天然立体構造に極めて近い複合体を形成することを見いだした。この複合体の構造安定性、構造形成の反応速度論についても興味ある結果を得た。
|