研究概要 |
パソコンで構成した情報教育実習システム用のサーバのフォルトトレラント性の実現技法を研究し,併せて実運用するシステムとして実現することを目的として本研究を行った。 フォルトトレラント性は,その実現対象の範囲・レベルに応じて種々の機器構成と技法が考えられるが,パソコンが安価,ハードウェアの改造不要などの理由により,2台のパソコンをサーバとして用いることにした。端末からは同報通信で同じ情報を2台のサーバに記録させるようにしてフォルトトレラント性を高めることにした。 まず,端末から同報通信で2台のサーバにファイル転送のみを行うプログラムを作成して予備実験を行った。その結果,1台のサーバを停止させても残りの1台がサーバ機能を継続できることを確認した。このプログラムを従来から開発・運用してきたレポート提出・受付システムに応用するための改造を行い,テスト運用した後,本運用に入った。2台のサーバ間の速度差を吸収して,同じ情報を記録させるには,サーバ間の同期用信号の送受信を行なわなければならず,そのため,サーバが1台のみであった従来システムに比べて応答速度が低下したが,学生が感知できるほどではなかった。 さらに,機械的動作部分の多いハードディスクへのアクセス回数を低減して,フォルトアボイダンスを向上させるため,RAMディスクを疑似的にディスクキャッシュとして活用するよう当システムを改良した。このため,無瞬断電源装置が必須となり,停電時のRAMディスク上のファイルの退避やサーバ自体の自動停止などの機能を実現した。 本研究では,市販のハードウェアをそのまま用いてフォルトトレラント性をソフトウェア的に実現したので,数年毎の実習機器の更新にも容易に対応できるシステムとして実現できた。
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