1.教師ー子ども間の言語的相互作用からみた体育の教授技術の特徴 教員養成大学附属小学校における、同じ題材、指導方法(すなわち同じ学習指導案)で実施された指導教官と教育実習生の体育の授業を10組VTRに収録し、両者間の教授技術の巧拙、熟練度の相違を分析した。その結果、現職教師は、身体の使い方を説明する運動技術の説明ができ、直接的に運動技術を説明する場合でも考えさせる形成となり、子どもの言動に対しても、教育実習生よりも褒め、称賛、励ましが適宜用いられていることが明白であった。このことは、教授技術にすぐれた教師とそうでない教師とでは、体育の授業においても認識を深める教材解釈とそのための指導方法がうまくできるかどうかの差となるであろうことを予測させる。 2.マイクロティ-チングによる体育の教授技術の分析 教員養成大学学生のロ-ルプレイによる体育のマイクロティ-チングを10授業組織した。同じ授業を2回繰り返し、その間の教授技術の上達度を測定したが、教材分析が不十分で、指導方法ばかりに関心が向いている授業では、子ども役から、授業のねらいがわからないという反応が多かった。具体的に運動のやり方を教えられない体育の授業は、子どもに身体についても運動についても認識を与えられないという教師教育に十分役立つ実践的研究であった。 3.今後の継続研究のために、先行研究と今回の研究成果をもとにした体育の授業用の教師ー子ども間の言語的相互作用分析のカテゴリ-を定型化した。
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