研究課題/領域番号 |
03801001
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 二郎 東京大学, 文学部, 教授 (60011285)
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研究分担者 |
榊原 哲也 東京大学, 文学部, 助手 (20205727)
高山 守 東京大学, 文学部, 助教授 (20121460)
天野 正幸 東京大学, 文学部, 助教授 (40107173)
松永 澄夫 東京大学, 文学部, 助教授 (30097282)
坂部 恵 東京大学, 文学部, 教授 (30012503)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 言語 / 直観 / 存在概念 / 記号 / 絶対者 / 言語行為 / 語り / 虚構的言説 |
研究概要 |
本研究において、我々は、西洋の代表的な言語哲学的諸研究に即して、〈事象の本性の直観〉と〈言語の媒介の役割〉とを改めて吟味険討し直すことによって、西洋における言語観の変遷の歴史を明らかにし、言語と現実との関係に関する現代の諸議論に一つの解明を与えることを試みた。 まず天野が,プラトンの誤謬論・虚偽論と名辞論の研究を通して、彼の言語観は、単語を有意味性の最小単位とし、その意味は慣習によって決まるものではないと考えている点で、現代の言語観と基本的に異なることを明らかにした。次に松永が、コンディヤックからメ-ヌ・ド・ビランに至るフランス経験主義の深化と変様に於ける記号問題の意義を考察した。坂部は、とりわけヴォルフ、バウムガルテンの言語論、記号論の諸相の解明を通して、18世紀ドイツ哲学の今日的観点からの再検討をこころみた。高山は、ヘ-ゲルの言論がいかなるものであるかを論究し、この言論が当時の一つの哲学的中心問題である「絶対者」解釈の中に位置づくものであることを明らかにした。榊原は、フッサ-ル現象学における直観と言語表現との力動的相互関係を解明するとともに、これまでほとんど注目されることのなかったライナッハの現象学的言語行為論に光を当てた。森は、ハイデガ-の現象学的解釈学の見地から、「語り」にとって構成的な諸契機を具体的に考察し、特にその受動的側面を浮き彫りにした。渡邊は、一方で、現代英語圏の哲学における存在概念を批判的に検討するとともに、他方で、ヨ-ロッパ大陸哲学で進められている虚構的言説(つまり物語・詩歌・文学における存在表現)の研究に成果を挙げた。 このように、我々の研究は、研究分担者各自の積極的な努力によって、少なからぬ新たな知目を得、満足すべき成果を得たと思われる。この成果は、本年度末に、研究成果報告書としてまとめられ、刊行された。
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