研究概要 |
市町村における「子育てシステム」づくりの分野、課題、役割分担、連携方法(ネットワ-ク)に関する萌芽的研究に着手した。 市町村における保健・保育・療育各担当者の研修を企画する中で,とくに妊産婦(胎児乳児期)の問題・課題が不明確であることが提起され、妊産娠の子育てアンケ-ト並に専門家(保健婦・乳児保育者)によるアンケ-トを計画した。 これらの「子育てアンケ-ト」の結果(道内5地方12市町村)についてみると,妊産婦の具体的に不安・悩み、家族・親族の協力状況、地域資源の利用状況が明らかになった。即ち、北海道において、少子化・核家族化の波が、女性の就労と子育ての両立の困難さや、子育てそのものの非力化・家族(世代)関係の希薄化、妊産婦自身の孤立・不安を伴っていること。また、地域における保健婦・乳児保育者等の関わりが未だ十分とはいえず、これら専門家の協力の余地が大きいことがうかがわれること。さらに、妊娠から出産・育児・就学に至る期間の一貫した支援体制づくりが必要であること。等、子育て主体とそれを援助する社会的システムの両方を育てる視点が明瞭になってきた。 なお次年度以降、アンケ-ト結果の分析内容を基にして、専門家の援助の課題・役割分担・ネットワ-ク作りの方法について調査検討をすすめたい。 市町村における保健・保育・療育各担当者の研修を実施(5地区延5回)する中で、出産適齢期(妊産婦を含む)の問題、乳幼児期の問題、学齢期の問題の比較が行なわれた。共通の問題として、三世代関係の希薄化・家族関係の単線化・社会参加の減少・社会性の発達の遅れ等がうかがわれ、その延長線上に、子育て不安、母子未分離、不登校、不適応等があるのではないか。これらの問題の調査検討が必要である。
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