本研究は日本の民生用電子産業、とりわけテレビを中心とした企業がアメリカ市場に参入し、そこでどの様に国際マ-ケティング戦略を展開し、競争優位を実現したのか分析したものである。国際マ-ケティングは、輸出型のグロ-バル・マ-ケティングと現地生産型のグロ-バル・マ-ケティングに類型化することができ、この類型が日本の民生用電子産業がそれぞれの段階においてどのような特徴を示すのか解明した。 (1)輸出型グロ-バル・マ-ケティング 戦後わが国企業の国際マ-ケティングにみられる一つの特徴は、日本を拠点とした一点集中型の大量生産体制を確立し、ここで生産された製品を海外に向けて集中豪雨的に輸出し、海外に設けた販売会社を通して積極的に輸出マ-ケティングを展開してきたことにある。日本企業のこの輸出を中心とするマ-ケティングにおいて、製品戦略、価格戦略、チャネル戦略の点においてどのような優位性があったのか解明した。 (2)現地生産型のグロ-バル・マ-ケティング わが国の民生用電子産業におけるカラ-テレビの対米輸出は1960年代の後半から1970年代前半にかけて激増していたが、1976年の286万台をピ-クに激減した。輸出の激減とは対照的にアメリカでの生産が増大している。日本企業はアメリカを生産の拠点としてマ-ケティングを展開し、製品戦略、価格戦略、チャネル戦略の面で競争優位を実現した。 (3)グロ-バル生産型マ-ケティング アメリカに生産拠点をもった日本の民生用電子企業は、その市場をアメリカに限定せず、全世界を対象としたグロ-バル・マ-ケティング戦略を展開し、製品戦略、価格戦略、チャネル戦略の点において圧倒的競優位を実現していることを解明した。
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