研究概要 |
ウラニウム金属間化合物U_6M(M:3d)の超伝導特性は,転移点のM依存性,磁場侵入深さ,弱磁場で超伝導転移点直下にプラスの帯磁率を誘起する。等で特異である。これらを解明する目的で,この化合物について,常伝導相の磁化,帯磁率,電気抵抗,超伝導相の磁化測定と超伝導転移点の磁場中冷却効果の測定を行った。 磁気的な測定は磁気天秤,SQUID及びHartshornブリッジ回路を用いて行い,電気抵抗の測定は4端子法を用いて行った。常伝導相約170Kに温度上昇とともに帯磁率の急減がみられ低温側の磁化はかなり保磁力が大きい。電気抵抗は温度上昇とともに飽和傾向を示し,約100K以下で温度ヒステリヒスを持つ。常伝導相の物性と電子状態についての研究はさらに高温領域での帯磁率,電気抵抗の測定を必要としており,これらは今後の課題である。 1.9Tの磁場を用いて行った超伝導キュ-リ-点の磁場中冷却効果は,キュ-リ-点をごくわずか低下させるようであるが,ほとんど認められないと言っても良い。また,0.02T以下の低磁場での測定では,磁場中冷却あるいはゼロ磁場冷却に関わらず超伝導温度でプラスの磁化が誘起される。測定する磁場を上げていくと,誘起されるプラスの磁化は減少し,0.03Tではプラスの磁化は消滅する。また,キュ-リ-点付近の温度で磁化カ-ブを測定すると超伝導を示す反磁性磁化カ-ブが現われるとともに常伝導相の約5倍程度の自発磁化が現われる。この現象はCeRu_2等を測定したが認められなかった。
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