研究概要 |
1.膜界面で有機化合物をゲストとして取り込みうる疎水性内孔を持つβーシクロデキストリン誘導体(1)が,単分子としてチャンネル機能を示す可能性を確かめるために,ラングミュア水槽中ホスト1を水溶液上に展開し,適当な表面圧を加えて形成した圧縮単分子膜について,ホストーゲスト錯体形成に伴うマ-カ-物質の透過性変化をin situサイクリックボルタンメトリ-の水平付着法により直接観測した。マ-カ-としてp^ーキノン,[Mo(CN)_8]^<4ー>,[Co(phen)_3]^<2+>に対する透過性を比較した結果,ホスト1の圧縮単分子膜の透過性を支配する因子が,マ-カ-の親水性/疎水性ではなく立体的な大きさであることが明らかになり,p^ーキノンのようにマ-カ-の立体的大きさが適切な場合には,ホスト1は単分子チャンネルとして機能することが示された。さらに,ホスト1の圧縮単分子膜のp^ーキノンに対する透過性は,ゲストによるチャンネル入口の直接的ブロックにより制御することが可能であり,しかも抑制の程度は,下層溶液に添加したゲストの種類により異なるというゲスト選択的な膜透過性制御の傾向が見られた。 2.疎水性内孔を持つ純人工ホストであるシクロファンの長鎭アルキル型誘導体2を合成し,配向膜形成および膜界面でのゲスト取り込みをπーA曲線により測定した。さらに,ホストーゲスト錯体形成による膜透過性制御能に関する基礎検討を行った。
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