1.ヒト血小板膜タンパク質を可溶化し、ゲル電気泳動により分子量に基づき分離し、さらにニトロセルロ-ス膜上にトランスファ-した。 2.申請者がすでに確立した方法により、市販されている未分離の高分子量のヘパリンを蛍光物質、さらに放射性物質(125ーI)で標識した。 3.標識されたヘパリンとニトロセルロ-ス膜にトランスファ-された血小板膜タンパク質との結合実験を行い、へパリンに結合したタンパク質の同定を行った。また、ゲルのまま標識化へパリン染色をおこないヘパリンと結合した親和性の高いタンパク質を同定した。そして既知のGPIB等のタンパク質と分子量的に比較検討し分子量80ー90kダルトンのヘパリン結合タンパク質の存在の証明に成功し、本研究の第一の目的を達成できた。現在、免疫学的検討を行なっている。 4.ヘパリンを酵素を、または化学的に限定分解し、カラムクロマトグラフィ-を組み合わせて、分子量および電荷に基づいて分離し種々の分子量と電荷を有したヘパリン誘導体を得た。 5.標識化ヘパリンを用いて、血小板とヘパリン及びヘパリン誘導体の結合を系統的に短時間で評価できるASSAY法(結合阻害実験法)を確立した。 6.5で確立したASSAY法により得られるヘパリン画分の血小板に対する結合率を測定し、低分子化の方法と分子量の効果を検討することにより血小板(血小板膜上のヘパリン結合性タンパク質)に対するヘパリンの構造特異性を検討し、結合ドメイン中の特異的二糖シ-クエンスの存在を推定することができた。
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