研究概要 |
造岩鉱物中での酸素を含めできるだけ多くのイオンの拡散速度を求めこれらを系統的に組み合わせることにより元素の拡散機構を実験的に明らかにし,これにより例えば、元素及び同位体の遍在が認められる炭素質隕石に含まれるCaーAlに富むインクル-ジョンの熱史を拡散の観点から推論することを目的としている。 現在同インクル-ジョン中に最も普遍的に存在しているメリライト中に於けるイオンの拡散速度の測定に引き続き,輝石(ディオプサイド)及び長石(アノ-サイト)の合成を行い拡散速度の測定を行っている。 大気圧下で調和融解する輝石および長石の端成分結晶は回転引き上げ法により合成した。これらの結晶は,それぞれ,単斜と三斜晶系に属していて,軸方位が直交しているフォルステライトやメリライトと同様の合成条件では,結晶の成長中あるいは融体と切り放した直後にクラックが多数発生する事が見いだされた。これは軸方向による膨張係数の違いによる結晶の歪を取り除くための時間が不十分なためと考えられる。これを防ぐ手段として,結晶の直径を約5mmとこれまでの合成結晶の約1/4以下にすることが有効である。一方,引き上げ速度を更に遅くすることは数センチ以上の長さを必要とする本実験には時間がかかりすぎて現実的な方法ではない。 下記にこれまで得られた最適合成条件を示す。
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