研究概要 |
人工衛星の大形化・長期運用化に伴って,姿勢制御エンジンの燃料が増大し,現在のガス圧送燃料供給方式では重量,容量の点から限界が生じる。本研究は,エンジンへの燃料供給をリニアモータ駆動のポンプで行うことによりシステムの高効率化と軽量化を図る「リニアモータポンプ方式」を提案し実用化研究を行うもので,平成3年度から2年間で,駆動用リニアパルスモータ(LPM)及びドライバを設計・試作し,基礎特性の実測,理論式の導出・評価,モータの軽量化を優先する最適設計,最適制御アルゴリズムの決定を目的として研究を行ってきた。本研究で得られた主な成果は,以下の通りである。 1.4極,25V,150WのリニアパルスモータとパワーMOSFETを用いたドライバを試作してモータが設計通りに動作することを確認し,さらに静推力特性の実験値が導出した特性算定式による理論値と良く一致することを確認した。 2.モータ可動子にバネをつけてサイクル運動系を構成し,位相面解析を行ってモータの定格推力とストローク長及びサイクル数の関係を明らかにすると供に,制御アルゴリズムの開発を行って,実験により理論通りに比較的小さな推力で共振運動を行えることを確認した。 3.以上のLPMについての研究に加えて制御法の研究を行うために,平成4年度にLPM・ドライバ,推力センサ,リニアエンコーダ及び計測値処理装置で構成される試験装置を新たに完成した。今後,共振系におけるバネの強さ,定格推力,ストローク長,サイクル数の最適組み合わせの決定に関する実験的研究及びスイッチ切り替え時期を含む最適制御アルゴリズムの決定に関する理論的,実験的研究を進めていく予定である。
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