研究概要 |
今回の研究により開発できた舗装構造は、高い保水性を有し吸・放水性機能を有する裸地の特性に着目し、従来の透水性舗装を改良し、保水層から表層部に水分を供給する機能を付与し、舗装表面からの蒸発散により舗装面温度および蓄熱量を低くするというユニークな発想に基づくものである。そのため,自然の気象サイクルの中で、その効果が持続することが期待される。その構造は、舗装下部の保水層より毛細管現象で表面に水を折出させる機能を有するポーラスモルタル部を、従来の透水性舗装に組み込んだものである。なお,雨水は従来の透水性舗装部を通過し、下部の保水層に溜るようになっている。本舗装構造について実験を行った結果得られた主な結論は、以下の通りである。 1.本舗装構造によると、地表面温度は、夏場アスファルト舗装に比べて最大で17℃,従来の透水性舗装に比べて11℃程度低くなる。また、地中温度も、2〜3℃低くなる。この効果は、20mm程度の降水の後,4日間程度持続する。 2.水分を揚水するポーラスモルタルの配合は、水セメント比を30%,砂セメント比を3とするのが良い。これは、揚水能力と剥離性より求まる。 3.ポーラスモルタルの配置により、圧縮強度は若干低下するが、曲げ強度はほとんど変化せず、施工に当っては舗装表層部のみを変更すれば良い。 4.保水層である敷砂と路盤の間を遮水した方が、本舗装構造の温度低減効果は大きくなる。 5.舗装表面の色が白くなると、日射反射率が大きくなるため、表面温度は低くなるが、輻射熱が大きくなり温暖化抑制効果はほとんどない。例えば、従来のコンクリート舗装の場合、熱容量が大きいため、夜間の地表面温度はアスファルト舗装と同等となる。
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