モザイク荷電膜は、膜の両面に貫通したアニオン交換領域とカチオン交換領域を持ち両イオンの通路を有しているため、膜の両側の濃度差あるいは圧力差によって発生する循環電流によって、非常高いにイオンの透過性を示すことが知られている。本研究は、ブロック共重合体から作製したモザイク荷電膜を用いて、これに直流電流を流したときの電解質の置換について検討した。また、生体物質を含む系への応用として、乳酸脱水素酵素であるLDH(Lactate dehydrogenase)を加えた系についても同様の実験を行い、酵素の活性の変化を調べた。 本実験で使用したモザイク荷電膜は、ポリスチレン、ポリ(4ービニルベンジルジメチルアミン)、およびポリジエンからなるブロック共重合体を膜素材として製膜し、次いで、4級化、架橋、スルホン化したものである。 試料液中の電解質濃度が一定とすると、元のイオン種の濃度C_aと新しく入ってくるイオン種の濃度C_bは次式で表される。C_a/C_o=1ーC_b/C_o=exp[-α・J・t/2・C_o・V] (1) ここで、C_o:初期イオン濃度、J:イオン透過速度、t:時間、V:体積、α:選択性因子 1.実験装置(省略) 2.実験結果 酵素を含んだ系および含まない系のいずれの場合も、0.3A〜0.9Aについて、イオン濃度と時間の関係を実測した。その結果、(1)式を満足していることが分った。イオン種による違いは、イオン種による選択性すなわち置換速度が異なることを示している。
|