研究課題/領域番号 |
03806007
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大崎 直太 京都大学, 農学部, 講師 (70127059)
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研究分担者 |
久野 英二 京都大学, 農学部, 教授 (10026560)
佐藤 芳文 京都医療技術短期大学, 診療放射線技術学科, 講師 (80215871)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 植物 / 食植性昆虫 / 寄生性天敵 / 防衛法 / 誘引機構 / イヌガラシ / モンシロチョウ属 / アオムシコマコバチ / アオムシコマユバチ |
研究概要 |
モンシロチョウ属の、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、エゾスジグロシロチョウの3種の幼虫は、アブラナ科植物を食草としている。しかし食草の種数は3種のチョウで異なり、スジグロは広食性、エゾは狭食性、モンシロは両種の中間の食性を示した。この食性の違いは、3種の幼虫の共通の寄生性天敵、アオムシコマユバチとマガタマハリバエに対する寄生回避法の違いで説明できた。つまり、幼虫の体内で寄生者の卵を血球包囲作用で殺すことのできるスジグロは質的条件の良い全ての植物を利用しており、その能力のないエゾは、質的条件は悪いが、他の雑草に覆われて天敵真空空間を提供するハタザオ属の植物を利用していた。モンシロは、天敵から逃げ回る生活をしており、一時的な植物のみを利用していた。寄生性天敵は、アブラナ科植物に対するモンシロ属の幼虫の食痕から出る揮発性物質にのみ誘引された。この物質はチョウの幼虫の唾液と破壊された植物からの液が混合されたときに生成された。寄生性天敵はこの揮発性物質を嗅ぎ分けて誘引されたが、以下の理由で、寄生者がたんに嗅ぎ付けているわけではなく、加害された植物がこの物質を生成し、積極的に寄生者を誘引していることが示唆された。(1)寄生者を誘引している物質は、従来、寄主自身が生成する体臭、唾液、糞、などと考えられてきたが、寄主はこれらの物質にょる手掛かりを消すことに成功している。(2)しかし、植物が介在している食痕からの揮発性物質を消し去ることに失敗している。(3)植物は、機械的な傷を速やかに塞ぐが、幼虫による食害部を修復せず、数日間にわたり誘引物質を出し続ける。以上のことより、寄生性天敵の誘引物質は植物が積極的に生成している可能性が示唆された。
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