研究概要 |
研究調査の進展と結果の考察・集約は次のようである。平成3年度は,ヒノキ間伐材を用い丸太の耐久性を調ベるために予じめ施工されたモデル用木製土留工から丸太8本を抜き取った。これらの丸太は,構造物として使用され2年を経過したものであった。丸太は乾燥地および湿潤地にそれぞれ施工されたもので,さらに地上露出材と土中に埋められた深さ3層のものからであった。これらのヒノキ丸太から,丸太の材質劣化に関する比較データを求めるため,JIS規格に沿い,ブリネルかたさ,横圧縮強さ,曲げ強度を調べるための試験体を多数作成し,試験体の含水率調整を行った後上述の3種類の測定を行った。これらの測定データと2年前に求めてあった基準値との比較を行った結果,辺材部では測定値の上でいくらか低下しているものがあったが,心材部を含め,丸太全部を用いた測定値の有意差検定の結果は,2年間の使用で材質の劣化が生じているとする判定にはならなかった。 しかし,湿潤地に施工されていた土留工の丸太のなかには,山シロアリによって辺材部がかなり食害されているものがあり,木構造物への利用に際しては,シロアリに対する対策もいることがわかり,新しい知見を得た。 平成4年度は,前年度末に静岡大学の附属演習林内において,演習林のヒノキ間伐材を用いた新たなヒノキ土留工モデル試験区を施工した。これらの丸太から基準値を残しておくための作業をすすめた。基準材用の丸太は,木材の強度試験を行うための準備をすすめ(天然乾燥2か月,その後人工乾燥)その後,多数の試験体を用い強度測定を行った。 ブリネルかたさ,横圧縮強さ,曲げ強度に関する3種類の測定結果は,今後の木材劣化テストを継続していくための貴重な財産になると思われる。
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