研究概要 |
核医学的手法を用いてmyocardial stunningの検討を行った。実験モデルおよび臨床的に,血流を測定,超音波法を利用して心筋局所機能を評価,^<99m>Tc pyrophosphate(PYP)によるCaの定量化を行い,除神経の状態,エネルギー代謝との関係について研究を行った。 犬冠動脈の30分間結紮後に再灌流,その2時間後に^<99m>Tc-PYP,^<201>Tl心筋イメージングおよび組織カウントの測定を行うと,^<201>Tl摂取は正常に回復しているが心機能は低下しており,その部立の^<99m>Tc-PYPの取り込みは増加していた。Ca拮抗薬により,心機能の回復は速やかとなり^<99m>Tc-PYPの摂取が抑制された。実験的に^<123>I-MIBG(metaiodo-benzyl-guanidine)を用いると,心筋摂取カウントは心筋内カテコラミン含有量とほぼ比例した。Stunningで^<123>I-MIBGの濃度は減少せず,心筋梗塞血になってはじめて減少した。すなわち,stunningでは交感神経末端のカテコラミン取り込み能は減少しておらず,梗塞のような強度虚血で減少,壁運動と相関した。また,^<123>I-BMIPP(beta-mathyliodophenyl pentadecanoic acid)と心筋血流および局所壁運動解析の結果,心筋血流はほぼ回復していても脂質代謝は有意に低下していた。また,^<18>F-fluorodeoxy-glucose(FDG)ポジトロンで糖代謝をみると,心筋血流の回復した状態においてもかなり長期間にわたり糖代謝が亢進していた(metabolic stunning)。臨床的検討で,non-Q梗塞の症例にも明かな^<99>Tc-PYPの取り込みがみられ,Caの役割の重要性が示唆された。Stunningを示す部位と局所酸素代謝を^<11>C-acetateのclearance rateを用いて評価すると,心筋酸素代謝は壁運動低下部位で有意に低値を示し,dobutamineにより正常部と有意差がないまでに改善した。 以上より,局所壁運動異常は心筋のCa代謝並びに局所酸素代謝に大きく依存することが明らかとなった。
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