研究課題/領域番号 |
03807065
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
廣田 省三 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (20181216)
|
研究分担者 |
佐古 正雄 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60030970)
河野 通雄 神戸大学, 医学部, 教授 (60030938)
藤井 正彦 神戸大学, 医学部, 助手 (00228959)
藤田 善弘 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (00238594)
長江 利幸 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (20227987)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1992年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | 門脈静脈シャント術 / 肝硬変 / TIPS / 経皮的肝内門脈肝静脈シャント / 門脈大静脈シャント / 金属ステント / 超音波穿刺 / 経皮的シャント造設 |
研究概要 |
門脈圧亢進症患者に対する新しい治療法である経皮的肝内門脈肝静脈シャント形成術について、経皮経肝法を中心に検討した。 A)実験的研究 1)経皮的肝内門脈肝静脈シャント形成術; a)穿刺法に関して :欧米で用いられているRoss針による肝静脈からの穿刺は不正確で危険であることを実験的に証明した。さらに、超音波断層法(US)を用いて門脈および肝静脈を同時に穿刺する方法が安全であることを証明した。 b)シャント拡張法について:経皮経肝ルートと経下大静脈ルートの2ルートについて、安全性と確実性について検討した。経皮経肝ルートでは、比較的太い8Fの孔よりの出血が合併症として起こり得、その対策としてコイル塞栓で対処できることをみいだした。c)ステント材質及び形状の検討 :当初の実験はself expandable型のZステンスを用いたが、シャントと静脈、門脈側への屈曲に対して、柔軟性がないのが短所である。一方、柔軟にベンドするWall Stentかspiral型のZステントが本法には至適であると考えられた。d)シャント開存性について:シャントの閉鎖は重大な問題で、比較的高率におき、シャント内の血栓形成、偽内膜形成によると考えられる。今回の実験的検討では明かな閉鎖はみられなかったが、狭窄がみられればバルーン拡張が必要と考えられた。 2)臍静脈拡張法に関する実験的研究:家兎、成犬を用いて研究を行ったが、動物モデルとして小さいため拡張術は困難であった。 B)臨床的研究: 食道静脈瘤RC(+)で難治性腹水の肝硬変患者に経皮経肝門脈肝静脈シャント術を施行し、シャント形成術に成功した。その際、X線透視下で穿刺を行う2点穿刺法を確立し、超音波断層で見にくい血管に対する新しい方法を考案した。これは肝硬変の程度が強い場合超音波断層では肝内血管が不鮮明となり穿刺が困難な場合に、X線透視下で2点をきめて穿刺を行う方法である。その後食道静脈瘤は軽快し、また、腹水も改善し患者は退院した。しかし、外来にて経過観察中に3ヶ月後にシャントの閉塞がみられた。原因は金属ステントの静脈側への挿入位置のずれによると考えられ、今後、この点についてさらに検討を重ねたい。しかし、本法がTIPSの新しい選択法として安全に臨床応用できる方法であることを示した。
|