研究概要 |
1.ノルアドレナリン線維に対するmianserinとfluoxetineの再生効果 大脳皮質の両側対称部位に,6-hydroxydopamine(2 μg/μl)を局所注入し局所のノルアドレナリン線維を変性させた後,一側の同部位に抗うつ薬を他側に生食を浸透圧ミニポンプで約18日間投与した。その後,glyoxylic acid法でノルアドレナリン線維の再生を蛍光顕微鏡下で確認した。その結果mianserinは有効だったが,fluoxetineでは効果を認めなかった。 2.セロトニン線維に対するfluoxetineの再生効果について 大脳皮質の両側対称部位に,5,7-dihydroxytryptamine(2 μg/0.5μl)を局所注入した後に,その同部位の一側にfluoxetineを,他側に生食を浸透圧ミニポンプを用いて2週間以上注入した。その後,セロトニン抗体による免疫組織化学的方法を用いて,皮質のセロトニン線維の再生の有無を顕微鏡下で観察した。その結果,fluoxetineがセロトニン線維の再生を起こすという明かな結果は得られなかった。 3.抗うつ薬によるノルアドレナリン線維の再生機序にβ-receptorが関与するかどうかの検討 方法としては,上記1と同様にまず皮質の両側対称部位に6-ヒドロキシドーパミンを注入した。その後,一側の同一部位にdesipramineを,他側にdesipramineとβ-blockerのpropranololを浸透圧ミニポンプで2週間以上注入した。ノルアドレナリン線維の再生に対するpropranololの効果は,dopamine-β-hydroxylaseの抗体を用いた免疫組織化学的方法で確認した。その結果,propranololはdesipramineの効果を弱める作用がある事がわかった。
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