研究概要 |
小児の移植臓器確保の目的で、レシピエントの全身潅流を行うための装置の開発と、脳死動物モデルの作成を平成3年度に行い、平成4年度には脳死動物モデル確立と全身潅流循環管理を行っている。 脳死動物モデルは平成3年度に行ったように、雑種幼犬(4〜6kg)を全麻下に両側頸動静脈を結〓し、椎骨動脈より硬化剤(アロンアルファー)を注入し脳底動脈〜中大脳動脈を閉塞し、完全脳虚血による脳死モデルとする。呼吸停止,瞳孔散大などの症状に加えて、脳波平低化、脳幹刺激電位の陰性化を認め、頸頂部で測定したレーザードップラーによる大脳皮質血流測定でもほぼ無血流を確認できた。本モデルについては第29回日本小児外科学会にて発表した。平成4年度には、本モデルの確立のため、さらに実験例を増やし、硬化剤の注入量,注入方法についての検討を加え、ほぼ確実なモデルが得られるようになり、脳死後約6時間のレスピレーター呼吸管理が可能であった。 臓器保存体外循環装置は、クラレKM-7800ポンプを購入し、流量センサー付可変リザーバー,膜型肺(メノックスAL-2000),血液濾過ダイアライザーを接続した回路を作成した。本年度(4年度)はこの装置を脳死モデル犬に接続し、体外循環を行い12時間の潅流が可能であることが確認できた。現在、実験例数を増やし、臓器保存状態の検索を検討中であるが、心臓死状態から本装置による潅流は末梢臓器潅流が不十分となり今回は検討していない。 以上、の結果は、日本外科学会雑誌の本年5月号に掲載予定となっている。
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