研究分担者 |
小野 高裕 大阪大学, 歯学部, 助手 (30204241)
荘村 泰治 大阪大学, 歯学部, 講師 (10154692)
岡崎 正之 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30107073)
高橋 純造 大阪大学, 歯学部, 教授 (80029149)
木村 博 大阪大学, 歯学部, 教授 (70036218)
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研究概要 |
本研究は消臭剤を床用レジンに添加して,義歯装着時に発生する悪臭や口臭を除去し、消臭効果のある義歯を開発することを目的としてた.緑茶を乾留した天然成分をアルミナやシリカゲルに吸着した消臭剤を使用した.平成3,4年度の研究において,消臭剤を添加したときの床用レジンの物性および消臭剤の添加量と消臭効果について検討した.悪臭成分としては,メチルメルカプタンを使用した.アルミナやシリカゲルに消臭成分を20wt%吸着した消臭剤を床用レジンに1wt%と3wt%添加したが,1wt%添加した試料の方が3wt%添加したものより消臭効果は高く,8時間後に約85%の除去率を示した。しかし,これらの試料を蒸留水中に16時間浸漬後,再度消臭試験を行っても消臭効果はほとんどなく,消臭の持続性は得られなかった.そこで,消臭成分の吸着量を100wt%まで増加させ,消臭の持続性と復元の実験を行った.しかし,消臭成分の吸着量を増加させた試料では,20wt%の試料よりも逆に除去率は低下した.これらの試料をアルコールや消臭成分を添加した水溶液中に浸漬して消臭効果の復元性についても検討したが,消臭効果の回復はほとんど見られなかった.3年間の研究により消臭効果のある床義歯は作製できたが.臨床に応用するまでには至らなかった.その理由は.消臭効果の持続期間が短いことである.研究目標を達成させるためには,消臭剤を単独で使用するのではなく,抗菌剤は殺菌剤と併用する必要があることがわかった.抗菌剤や殺菌剤で義歯表面にデンチャープラーク等の付着を防止し,消臭剤で悪臭成分を除去することにより,持続性は向上する思われる.本研究は萌芽的研究であるが,研究中に抗菌剤・殺菌剤として竹乾留物が使用できることがわかり,その成果は十二分にあったと考えられる.今後は消臭に関する研究と抗菌・殺菌に関する研究を併用して研究を進めていく必要がある.
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