研究概要 |
研究計画に基ずいて,初めに測定システムを構築した。組織内直接計測用として,モニタ-の光源は半導体レ-ザ-に光ファイバ-を結合することにより作成し,また目的とする部位に挿入する受光用センサ-としての光ファイバ-の先端部を球状に加工し,集光効率の高度化を計った。一方,非侵襲測定法の受光用センサ-として光ファイバ-結合型マイクロプリズム(ATR法用センサ-)を製作した。次にこの二つの方法を用いて,感光色素(ヘマトポルフィリン)を家兎及び担癌マウスに投与し肝および移植腫瘍の表面および組織内の感光色素の励起寿命の測定を行い,感光物質の組織内および同表面における動態解析,とくに組織内酸素による三重項寿命の影響について検討した。方法論上,ATR法者においては組織表面との接触の不完全さがデ-タ-のばらつきや測定感度の低下の原因となったが,生体とセンサ-の間を減圧密着させることにより,この不安定さを解決した。また受光用センサ-としての光ファイバ-を利用するシステムにあって,励起用光源は組織表面から照射しているが,今後光ファイバ-を利用して一体型のプロ-ブを試作する予定である。今後の応用は,本システムを利用し,生体内感光物質による腫瘍破壊機序を始め,抗生物質や種々薬剤の日光過敏症などの作用機序,あるいは新生児黄疸の消退などの光化学的メカニズムの研究などを行う予定である。
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