研究概要 |
Large granular lymphocyte leukemia(LGL白血病)は,慢性関節リウマチ(RA)を始めとする自己免疫疾患との合併頻度が高い。この点に着目し、LGL白血病とRAとの関係を調べた。その結果一例のリウマチ因子陽性,CD3^+CD4^+CD8^+LGL白血病患者において白血病細胞が家兎IgG及びヒトIgGに反応して増殖した。この増殖反応は、(1)抗原提示細胞の存在仰を必要とし,(2)抗HLAーDQ抗体,抗CD4抗体ならびに抗CD3抗体によって抑制され,(3)液性因子によっては達成されず,(4)IgGをパルスした抗原堤示細胞(APC)のみで増殖誘導が可能であった。以上より白血病細胞がそのT細胞レセプタ-(TCR)を用い、APCによって提示された自己抗原であるIgGを認識して増殖することを明らかにし得た。ヒト胞細胞性白血病細胞のTCRが認識する抗原が明らかにされたのはこのTーLGL白血病例が始めてである。他のLGL白血病患者において本現象が一般化されうるか否かを,2例のCD4^+例,2例のCD8^+例,2例のNK例について検討した。1例のCD8^+例でstimulation index(SI)3,1,2例のNK例でSI3.3,3.0と有意な増殖を認めたが,これらは全例Fcレセプタ-を有しており同レセプタ-を介した刺激がTCRを介した刺激が分離できなかた。本例はCD4^+CD8^+とdouble positive(DP)の表現型を示したが、CD8β鎖特異的モノクロナル抗体を用いて検討したところCD4^+CD82^+βー型であることがわかった。この表現型はCD4^+T細胞をインタ-ロイキン4で刺激することで誘導される型と同一であり一方胸腺型DPーCD3^+T細胞の表現型とは示唆しており,そのMHC classII拘束性機能と表面マ-カ-の結果との一致をみた。
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