研究概要 |
超音波画像やCT等の医用画像は,医療の診断に欠かせない重要な役割を果たしているが,その診断過程では,画像所見の評価や診断ロジックに介在する検者の主観性が診断に大きなゆらぎを与え,診断結果を不確かなものにしている。本研究では超音波画像による癌診断をその研究対象として,本研究の目的は1) 画像診断に内在する主観的評価とファジィ性を解明し,2) ファジィ理論を使って,超音波画像所見による癌診断ロジックを構築し,3)この診断ロジックを搭載した癌診断装置をパーソナルコンピュータによって具現化することであった。 このため平成3年度は,画像診断に内在する主観的評価とファジィ性を研究し,その研究成果をファジィ学会誌特集号解説に発表した。また,ファジィ理論を使った超音波診断ロジックの構成法について研究し,ファジィ理論を用いた項目間の相互作用による新しい診断システムを考案した。この研究成果を国際ファジィ学会(ベルギー,ブリュッセル)のデモンストレーション及びファジィ学会特集号での論文で発表した。 平成4年度は,ファジィ理論を使った超音波診断ロジックの構成法を研究すると共に,これらをパーソナルコンピュータに搭載したファジィ診断支援システムを製作した。この支援システムを国際外科学会でデモンストレーション発表した。またこれらの研究結果を学会や論文で発表した。さらにこれらの研究成果を著書「メディカル・ファジィのはなし」にまとめた。また,ファジィ診断システムで重要な所見項目の選定法やメンバーシップ関数の構成法について重要な成果が得られた。
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