本年度は、PKー120の構造解析に関して以下のような成果を挙げた。 1.PKー120の基本構造並びにカリクレインによる切断様式の解明:PKー120はカリクレインにより、まず100kDaと20kDaとに切断され、次いで70kDaと40kDaとに切断された。70kDaフラグメントは60kと10kの2本鎖構造をしていることが分かった。この各フラグメントを精製し、そのNー末端アミノ酸配列から、次図のようなカリクレインによる限定分解様式が明らかになった。 2.PKー120のカリクレイン切断反応に伴うプロテア-ゼ活性の発現:PKー120のカリクレインによる切断にともない、新たにプロテア-ゼ活性が発現することを見いだした。この活性は、PKー120が70kDaと40kDaとに切断される反応に伴って発現し、70kDaフラグメントがプロテア-ゼ活性を示すことを見いだした。この活性は、DFPなどにより阻害されるところから、セリンプロテア-ゼに属することが明らかになった。 3.PKー120のcDNAのクロ-ニング:PKー120に対する抗体を用いて、肝や胎盤などのcDNAライブラリ-からPKー120のcDNAを探索した。一般に、血液蛋白質は肝で生合成されるにも拘わらず、肝のcDNAライブラリ-からはPKー120のcDNAを分離することが出来なかった。しかし、胎盤のcDNAライブラリ-から部分長のcDNAを分離することに成功した。現在、この部分cDNAを用いて、完全長のcDNAのクロ-ニングを行っている段階である。
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