I.研究目的:一雨毎の降水のPHの実測値より一雨降水量とその平均PH値との関係について季節による違いを調べ、その違いの原因について地上・高層天気図の解析によって考察してみた。一方、一雨降水そのものの降り始めから時々刻々どのようにPH値など汚染濃度が変わるかについては、最新の簡易測定器により実測を試み、時々刻々の変化の要因についても考察を試みた。また、酸性雨による植物被害について考察した。 II.研究方法:測定期間(1)一雨降水の調査は1990年1月から始め現在も継続中(2)時々刻々の降水調査は1991年12月から実施し現在も実施中、測定場所広島市内住宅街、測定方法(1)一雨降水とそのPH値は口径20cmの容器で採取し、PHメ-タにて測定(1991年秋から導電率NO_3をも測定開始)(2)時々刻々の雨水のPH値、導電率、NO_3^ーの測定は、レインゴ-ランドで初期降雨から1mm毎の降雨を7mmまで自動的に採取、その各1mmの分と8mm以上30mmまでのト-タルの分とに分けて、PH値導電率、NO_3^ーを測定した、植物被害調査広島県(三次)など瀬戸内地方のスギやマツを調べた III.研究結果:(1)一雨降水のPH値の月平均値からみた酸性雨の季節変化 1990〜91年についてPH値の月平均値を求めた結果、冬季間にPH値がやや大きく夏半年は低PH値で酸性度が大きい。発生源の一つとして大陸からの長距離輸送が考えられ、寒候期と暖候期とで経路が違うことを地上・高層天気図のパタ-ン解析から明らかにした。(2)寒候期(真冬から春先の黄砂季)と暖候期(梅雨から真夏)の一雨降水量とPH値の関係 暖候期は一雨降水量が少ないほどPH値が大きく、降水量が多くなると酸性度が増すが、寒候期は逆の傾向にある。(3)一雨間の時々刻々のPH値、導電率、NO_3^ーについて 冬季の例では必ずしも初期降雨でPH値が小さいとは限らないことと、導電率とNO_3^ーはほぼ同じ変化を呈するがPH値とは反比例の傾向を見出した。(4)植物被害 マツ枯れや塩害との複合汚染とみなせる
|