研究概要 |
31人(検索対象は30人)の京都大学国費留学生(研究留学生、国籍24カ国)に対して、ほぼ一定のフォ-ミュラに従ってインタビュ-を行なった。前もって主旨を書いた手紙を出しておき、一人約1〜2時間の面接を行い、最後に謝礼を渡した。インタビュ-は本人の希望に応じて日本語または英語で行なった。「何故留学か」については37の、「何故日本か」については52の選択肢がえられた。日本留学のメリットとデメリット、および日本の魅力についてはそれぞれ、24、21、26の項目がえられた。これを整理して検討したところ、留学動機は大きく二つに区別できることが明らかになった。自国では勉学研究環境が不備であるといった本人の個別意思を越えた理由と、外国に対する好奇心、探求林といった個人的動機とである。前者を「一般社会意思」、後者を「特殊個別意思」とみなし、日本選択についても両者を区別することを試みた。日本選択に際しては、さしあたり奨学金、研究環境、ハイテク、経済力、治安などの要因が一般社会意思として重要であることが明かとなった。留学(A)、日本(J)、一般社会意思(G)、特殊個別意思(P)の組合せから、留学、日本選択の動機を、AGーJG(8例),APーJP(6例),AGPーJGP(5例),AGーJGP(5例),APーGJP(1例),AGPーJG(1例)など9個のカテゴリ-に区別することが可能であることがわかった。詳細に触れることはできないが、例えばAGーJGは発展途上国留学生に多く、APーJPは欧米留学生に多い傾向が認められた。AGPーJGPは、必ずしもいずれかに区別し難い国の留学生に多いように思われた。基本的には、一般社会意思は特殊個特意思よりもその動向についての予測が立て易いように思われる。方法論的に地固めができたので、今後はいま一つの重要な対象である「私費留学生」に対して同じ検索を行ないたいと考える。
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