研究概要 |
本研究の目的は,一般廃棄物の埋立処分場周辺に地下水汚染を監視するためのモニタリングシステムを配備する問題を例にとって,汚染物質の環境中での動態とそのリスクを制御するためのシステムを,物質動態や人の価値判断に伴う主観的あいまいさを考慮しつつ,構築する枠組みを提示することであった。 有害物質により地下水汚染解析を精度よく進める視点から,関連するパラメータや情報を摘出し,それらが地下水汚染解析にどのような影響を及ぼすかを解析した。また,地下水汚染の機構を解明するためのミニモデルである,室内における土壌カラム実験から得られる破過曲線等を対象にして,従来型の移流分散モデル(クリスプモデル)による物質移行の予測精度とパラメータや移流分散機構のあいまいさを考慮したファジィシステムモデルによる物質移行の予測精度とを比較・検討した。特に,地下水汚染解析の境界条件として与える汚染原因物質の漏出位置における濃度を,環境システムと社会システムの接点として把握し,廃棄物埋立に関する情報が汚染物質の漏出濃度の推定精度向上に及ぼす効果,想定埋立処分場周辺地下水層の,透水量係数等の地層特性が確率変動することによる汚染解析への影響,有害物質の漏出濃度をファジィ情報および確率情報を用いて推定する方法,等について検討した。廃棄物埋立処分場周辺に配備すべき環境モニタリングシステムの役割と機能,ファジィシステム理論を環境中での物質移動現象の解析に応用する手順等について整理すると共に,漏出濃度がファジィ期待値で与えられる場合の地下水汚染数値シミュレーション,モニタリングシステムの機能向上に果たす追加情報やモニタリングシステム設計に伴う制約条件の効果,等について検討した。
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