研究概要 |
1.副腎随質の細胞骨格蛋白質の解析 この組織の細胞膜画分より新しいアクチン結合蛋白質(39k蛋白質)を発見した。この蛋白質は細胞膜画分を非水解性GTPアナログであるGTPγSで処理することで特異的に可溶化される為G蛋白質である可能性が高かったので既知のG蛋白質(Gi,Go,Gs)の抗体に対する反応性をみたがこれらとは反応せずまた39k蛋白質に対する特異抗体もこれらG蛋白質とは反応しなかった。現在この蛋白質の構造解析を進めつつある。 2.中枢神経系に存在する膜蛋白質の解析 脳組織の細胞膜に多く存在しカルモジュリンとの結合能を持つ蛋白質を新たに精製しcDNAクローニングによりその分子構造を明らかにした。この蛋白質は特異的なアミノ酸組成を持つ酸性蛋白質であり熱処理、酸処理等に抵抗性を示し疎水性アミノ酸残基に乏しい等 神経分泌への関与が考えられているMARCKSやGAP-43と似た物理学的性質を示すことが分かった。またN端にはミリスチル化される部位を持ちこれによって細胞膜へ移行すると考えられる。ただ大腸菌で発現させた蛋白質はカルモジュリン結合能を示さず翻訳後の修飾による活性化の機構が存在することを示唆している。今後真核生物の発現系でこの点を解析する予定である。特異抗体による解析はこの蛋白質が神経系に特異的に発現していること、発生に伴う発現量の変化が見られること、神経細胞の膜系に局在すること等を明らかにした。
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