研究概要 |
細胞と基質間の接着装置であるヘミデスモソ-ムの分子構築を明らかにするため研究実施計画に従い研究を進め、以下の成果を得た。 1 単離したヘミデスモソ-ム画分を抗原とし、モノクロ-ナル抗体の作製を精力的に進めた。蛍光抗体法や免疫ブロット法、免疫電顕法等で検定した結果、ヘミデスモソ-ムに関係ある抗体を数百種得た。 2 得られた抗体を性質にしたがって分類したところ、以下のことが明かとなった。 (1)ヘミデスモソ-ム画分の主要成分は一成分(120kD)を残し、すべて抗体が得られ、実際にこれらの成分がヘミデスモソ-ムの構成成分であることが示された。残る一成分については、ゲル適気泳動後、バンドを切り出し、抗原とする予定である。 (2)主要成分のうち、二成分(200kDと180kD)は膜貫通型の分子であることが明かとなり、ヘミデスモソ-ムの接着分子である可能性が示唆された。しかし抗体による接着阻害にはまだ成功していない。 (3)主要成分のうち、500kD,200kD,55kDの三成分はヘミデスモソ-ムを欠くとされている血管内皮細胞やグリア細胞にも存在しており、これらの細胞もヘミデスモソ-ム様の接着構造を持つ可能性が示唆された。他の成分は典型的なヘミデスモソ-ムにのみ存在していた。 3 これらの抗体を用いて、500kDと180kD成分のcDNAクロ-ニングに着手している。
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