研究概要 |
非常に高活性の2',3'ー環状ヌクレオチド3'ーフォスフォジエステラ-ゼ(CNP)が脳および脊髄に存在し,オリゴデンドログリア細胞が特異的にCNPを発現していることが示されている。CNP遺伝子およびその発現について次のような研究を行った。 1.マウスCNP遺伝子の上流域をリポ-タ-遺伝子につなぎ,C6細胞に導入後一時的なリポ-タ-遺伝子の発現を測定することによって,CNP遺伝子のプロモ-タ-の転写開始活性をしらべた。CNP遺伝子の上流域SmaIまでのフラグメントで転写開始活性が認められた。 2.マウスで見いだした二者択一スプライシング(Kurihara et al.1990 Biochem.Biophys.Res.Commun.170,1074ー1081)から予想される大きい方のタンパクに特異的な抗体を作製し,マウス・ラット・ヒト・ウシのミエリン画分のSDSーPAGEブロットを検索した。マウス以外では、ゲル上の2本のCNPタンパクのバンドのうち泳動が遅い方のバンドのみがこの抗体に反応した。マウスでは,4本のCNPバンドのうち泳動が遅い方の2本のバンドがこの抗体に反応した。哺乳類の中枢神経系に共通して見られるCNPダブレットの起源は,mRNAができる際の二者択一スプライシングにあることがタンパクレベルで証明された。 3.セルソ-タ-で分離した染色体DNAのスポットブロットをCNP遺伝子のプロ-ブでハイブリダイズさせることにより、ヒトCNP遺伝子の染色体局在を決定した。
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