研究概要 |
化学反応動力学を詳細に特徴づける時に、初期及及び終状態(内部状態)を指定した反応過程に対する断面積なる物理量が良く用いられるが,内部状態の詳細には拘らず、全体として反応が起こり易いのかどうかを特徴つける量に熱反応速度定数がある。初期内部状態については熱分布についての平均を取り、終状態については全て和を取る。Zhao氏はアメリカで電子的に断熱な化学反応の熱反応速度定数の理論とその具体的評価を行って来たが、我々の所ではその経験を活かし、しかも我々独自の非断熱遷移理論(Zhu-Nakamura理論)を用いて電子的に非断熱な化学反応の熱反応速度定数を評価する理論を構築し、その具体的応用を行う研究を進めている。始終電子状態を指定した熱反応速度定数を、遷移状態が非断熱結合の為に生じている場合について定式化する理論を構築した。現在、この理論を用いて1次元及び2次元系での計算を行いその有効性を確認している。多次元系の量子力学的厳密計算は不可能であるので、この理論の活用が期待される。1-2次元系で旨く行くことが確認出来れば、今後、多次元系への適用に挑戦する。
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