化学反応プロセスから排出される廃棄物を最小化するために、従来硫酸等の液体酸を用いて行われてきた触媒反応の固体化により高分散化し、高活性触媒を開発し、架橋負担性の削減を目指す研究を開始した。本年度は予備実験として、各種固定化酸触媒の調製及び触媒機能の検討を行い、超臨界流体中における触媒機能の研究を行う上での基盤的検討を行った。 2-5nmの規則的空孔を有する大表面積のメソポーラスシリカMCM-41及びSB-15に担持したリンタングステン産などのヘテロポリ酸を坦持し、XRD、窒素吸着、TR-IR、^<29>Si及び^<13>C NMRによりその構造確認を行った。 これらの固定化したヘテロポリ酸の触媒機能を明らかにするために、ナフタレン誘導体のアシル化反応を検討した。2-メトキシナフタレンは高い活性が発現し、主として1-アセチル-2-メトキシナフタレンが生成した。この際、5-15%の2-アセチル-6-メトキシナフタレンを副生した。本触媒は、濾過により生成物と容易に分離でき、回収触媒は、ほぼ同等の触媒活性を有していた。MCM-41及びSB-15いずれを担体としても同等の活性が得られ、ヘテロポリ酸が高分散で担体状に存在することが確認された。なお、ナフタレン、2-メチルナフタレンでは、低い活性しか示さなかった。 今後は、触媒反応の適用範囲の拡大を検討すると共に、触媒反応をさらに促進するために超臨界流体中における触媒機能の検討を行う。
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