研究概要 |
(研究目的) ゲノム研究基軸放線菌Streptomyces coelicolorの生産するベンゾイソクロマン(BIQ)系抗生物質アクチノロジン(ACT)生合成に関与する鍵酵素の機能研究を基盤として、関連BIQ系抗生物質グラナティシン(GRA),メダマイシン(MED)両生合成遺伝子群との比較ゲノム解析と鍵生合成遺伝子の機能研究を行い、機能ゲノム学としての普遍的知見、さらには有用物質生産に向けた応用研究を行うことを目的とする。具体的には各生合成遺伝子クラスター中の遺伝子産物(タンパク)の一次配列及び三次元構造を生物情報科学的手法に基づいて比較し、機能推定を行う。ここから生合成鍵酵素遺伝子と既存のデータベース情報からは機能推定ができない保存遺伝子の同定を行う。続いて当該遺伝子を対象に分子遺伝学的手法(遺伝子破壊等)とそれに伴う化学表現形(代謝プロフィール)変化を解析し、遺伝子機能に関する知見を得る。機能解析を進めた鍵酵素に関しては遺伝子改変を加えて新規有用物質生産に向けた組み換え生合成酵素の発現系の構築を行う。 (今年度の実績概要) BIQ系抗生物質生合成遺伝子クラスターの生物情報学的解析(具体的には、全塩基配列が既知のACT, GRA, MEDの生合成遺伝子クラスターに含まれるタンパクコード領域(ORF)の比較と機能予測を各種データベースを利用して行った。 上記の結果、BIQ生合成の鍵酵素として共通に存在する還元酵素を見出し、その機能解析用の発現プラスミドを構築した。 構築したプラスミドを放線菌宿主に導入し、機能解析のための培養条件の最適化を開始した。 本研究遂行の基盤となる基礎的技術の最適化、特に、取り扱う放線菌の培養条件や遺伝子導入条件を検討する第13回国際放線菌シンポジウム(平成15年12月1日〜5日、オーストラリア国メルボルン市)に参加し、本研究遂行の基盤となるこれまでの研究成果を発表するとともに本研究に有益な情報を収集した。
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