研究概要 |
1.有限簡約代数群GのGelfand-Graev表現のHecke環Hの既約表現(ベッセル関数)はCurtis(1993),Curtis-Shinoda(2004)により研究されて来た。Curtis(1993)は既約表現の指標値を与える式を与え、Curtis-Shinoda(2004)はその指標値のGL_nの特別な場合は一般化されたクルースターマン和であることを示した。これらの結果を踏まえ、まずGL_4の場合に全ての指標値を求めることを試み、次の結果を得た。 (1)Hの生成元とその関係式につき、各標準基底の間の構造定数を具体的に求めることにより詳しくしらべた。Hには位数2の同型写像があるので、約半分の関係式を調べればよい。Bruhat分解を使って計算をした。この考察の結果、Curtis-Shinodaで求められたコクセター型の標準基底B_<12>,B_<23>以外にB_<13>,B_0型の標準基底に対して求められれば全てのベッセル関数の値を求めるには十分であることを示した。一般のGL_nの場合にコクセター型の標準基底でHが生成されるであろうという予想がある。この計算結果はまだ検証すべき点を残しているが、この予想に対し否定的な材料を与えている。 (2)B_<13>,B_0型の標準基底についてCurtisの公式を適用するためには各標準基底のサポートにつきその共役類を知る必要がある。各場合に正則共役元、非正則共役元の個数をまず求めた。これから、ベッセル関数の値を与える式を求めたが、最終的な形には、まだ到っていない。より詳しい共役類の分布を知る必要がある。 2.Tulunayは博士論文の中で得られた主要結果について発表をした。特にカスピダル型のGL_nの既約表現に対応するHのベッセル関数の値を具体的に与えた。これはCurtis-Shinodaの結果の一部に、別証明を与えたものである。
|