| 研究概要 |
インド亜大陸やインドシナ地域において、降雨現象の変動を調べることは,気象現象としての興味のみならず,水資源利用の立場、また洪水や干ばつなどの気象災害の立場から、非常に重要である。とくに、この地域では、夏季のモンスーンによって降水がもたらされ、その年々変動や季節内変動を詳細に調査する目的で、1998年から展開されたGAME(GEWEX ASIAN MONSOON EXPERIMENT)が展開されてきた。このプロジェクトの実施中に得られた気象資料は、これまでにデータベースとして公開されている。この研究では、このGAMEで得られた気象資料を基本として、その他の地上気象資料や衛星気象資料を利用して、南アジアおよびインドシナ地域の夏季モンスーン期の降水に関して、その年々変動や季節内変動を明らかにする。とくに、熱帯地域特有のMJOやdipole momentと南アジアの降水との関係を統計的に明らかにする。これによって、南アジアやインドシナの降水予測に貢献することがこの研究の目的である。
今年度は,インド亜大陸の気象資料として、もっとも詳細な資料であるGAME再解析資料を基にして、南アジアの降水について解析をすすめた。1998年からの年々変動と、各年の季節内変動の差異を明らかにするとともに、地域による差異、モンスーンの開始時期や終了時期の違いについても明らかにしつつある。この地域的な差異、時間的な違いが、どのような気象・気候現象と関わっているかについて調べ、GAME-Tropicsの資料だけでなく、GAME-Tibetの資料をも併用して、Tibet高気圧の振る舞い、Tibet高原の加熱のようすについても、その変動を調査し、南アジアとの降水との関係を考慮してきた。また、気象衛星の雲画像を参照して、この地域の対流活動の生成、発達、消滅状態を調べ始めている。これらの解析を進めることによって、各年の降雨現象が、何によって支配されているのかを明らかにしつつある。
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