研究概要 |
Vaz教授は,指の補助装具を提案し,そのプロトタイプを製作するとともに,ボンドグラフの手法により補助装具のダイナミクスを解析した.指の補助装具の提案では,残された指の自由度と駆動力を,失った指の部分に装着した人工的な指に伝達するという新しい概念を提案した.プロトタイプでは,伝達機構としてワイヤ駆動を採用し,ワイヤにおける力伝達の一方向性を考慮して,メカニズムを設計し,試作した.概念,設計,モデリング,シミュレーション,ハードウェア製作を統一的に進めるために,ボンドグラフによる補助装具のダイナミックモデリングを行なった.ワイヤの動特性やジョイントの摩擦を考慮して,補助装具のモデルを構築した.指の補助装具では,複数の要素を統合して,全体のシステムを構築する.このようなシステムを効果的にモデリングするために,Word Bond Graph Objectsの概念を提案し,それを用いて補助装具をモデリングした.また,生物の関節は,軟骨というソフトインターフェースを介して二つのリンクが結合されているという特徴を有する.Vaz教授はWord Bond Graph Objectsをこのような関節のモデリングに適用し,関節運動のシミュレーションを行った.さらに,残された指のみを用いる受動的な補助装具に加えて,外部からパワーを供給する能動的な補助装具を提案し,モデリングとシミュレーション,プロトタイプの試作を進めた. 以上の成果を,ESDA04,IROS2003,SMC2003,SMC2003等の国際会議で発表した.また,ASMEの論文として投稿済である.
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