研究課題
特別研究員奨励費
日中共同実験のチベット空気シャワー観測装置は、高度4300メートルの中国チベット高原に789台のシンチレーションカウンターを7.5m間隔の碁盤目状に配置した37000平方メートル空気シャワーアレイであり、TeV領域以上の宇宙線及び宇宙ガンマ線の広視野連続観測を世界最高感度で行っている。2000年から2001年にかけて、地球から約150Mpc離れた活動銀河核(AGN)Mrk421で発生したTeV領域ガンマ線フレア信号をチベット空気シャワー観測装置(Tibet-III)を用いて検出することに成功した。衛星に搭載された「Rossi X-Ray Timing Explorer」で観測されたX線データとチベットで観測されたTeVガンマ線データは強い相関を示した。Tibet-III空気シャワー観測装置で1999年から2003年に取得された銀河宇宙線の太陽時異方性を世界最高精度で観測した。12TeVと6.2TeVのデータサンプルでは、地球の公転運動により生ずるコンプトン・ゲッティング異方性で説明できる結果が得られたが、4.0TeVのデータサンプルでは、コンプトン・ゲッティング異方性で説明できない成分が観測された。一次宇宙線陽子のPeV領域エネルギースペクトルを高精度で測定する目的で行われたチベット連動実験で使用されたエマルションチェンバーを構成するX線フィルムの自動解析プログラムを開発した。コンピューター制御の画像イメージスキャナーを用いたスポット検出を行い、宇宙線陽子により生成されたガンマファミリー事例の事象再構成とエネルギー決定を自動で行えるようになり、Knee領域陽子スペクトルの測定を行った。1990年から2002年までに得られた1太陽周期をカバーするデータを解析した。太陽活動の静穏期にあたる1996年から1997年にはっきりと見えていた10TeVにおける「太陽の影」は、太陽活動期の2000,2001,2002年にはかなり薄くなっていることが判明した。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (6件)
Physical Review Letters 94・6
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