研究概要 |
本研究では、高感度かつ高選択的でありながら、安価で簡便な検出が可能な免疫反応を利用したイムノアッセイと計測装置とを組み合わせたセンシングシステムについて、表面修飾技術やマイクロチャネル作製技術を駆使することにより、検出が難しい環境中などに存在する低分子化合物を超高感度、高選択的、しかもオンサイトで簡便に多成分同時検出が可能な新しいセンシングシステムを構築することを目的として研究を進めた結果、今年度は以下のような成果を得た。 1)サブppbレベルの環境汚染物質のリアルタイム高感度検出 タンパクコンジュゲートを金膜上に固定化したSPRセンサにより、間接競合法を用いて、0.1ppb程度の2-ヒドロキシビフェニルを応答時間が約20分で高感度検出できることがわかった。また、この免疫センサ素子はペプシン溶液により20回以上再生して使用することが可能であった。 2)マルチチャネルチップを用いたコンパクトでポータブルなSPR免疫センサによる低分子化合物の同時検出 4つのマイクロチャネルを用いたコンパクト(16×9×6cm)で軽量のSPRセンサを作製し、ベンゾ(a)ピレンと2-ヒドロキシビフェニルを高感度で同時検出することに成功した。 3)単分子タンパク質膜を用いた免疫センサによる環境ホルモンの迅速検出 環境ホルモンの一種である2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)のトレースレベルの検出を、2,4-D-BSAバイオ単分子膜を形成したセンサチップを用いることにより、SPRセンサにより0.5ppbまで検出できることがわかった。
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