研究概要 |
1.リンゴ果実認識プログラムの改良 自律リンゴ収穫機械システムの視覚部にマシンビジョンを使用するが,リンゴ果実の認識にはリアルタイム処理が求められる。このためプログラム言語Delphiを使用して画像処理プログラミングを行った。CCDカメラでリンゴを撮影後,果実を認識するまでに要する時間は約400msであった。リンゴ収穫のためのリアルタイム処理に十分な結果となった。 2.マニピュレータの運動モデル リンゴ収穫のためにエンドエフェクタを果実にアプローチさせるため,マニピュレータの運動モデルを逆運動学に基づいて構築した。本研究で使用するマニピュレータは,4関節をもつ4自由度マニピュレータである。リンクの長さ,関節の可動回転角などのパラメータを用いてコンピュータ上でシミュレーションを行い,運動モデルを構築した。 3.エンドエフェクタの開発 リンゴ果実に接触し,収穫するエンドエフェクタを開発した。収穫機構は,フィンガーと呼ぶつめで果梗を把持し,枝と果梗の間の離層を中心にリンゴ果実を回転させる。このような動作機構をもつエンドエフェクタを2つのDCモータの組み合わせて製作した。開発したエンドエフェクタで収穫実験を行ったところ,収穫成功率は90%以上であった。回転に要する時間は,制御用パルス信号の周波数によって変えられる。 4,リンゴ果実位置の計測 リンゴを自律機械収穫するためには,その果実の位置を座標情報として取得し,そこに向かってエンドエフェクタをアプローチさせる必要がある。このため,エンドエフェクタから果実までの水平距離を測定するために,レーザー距離計を用いた。レーザー距離計で,リンゴ果実の赤道面までの距離を測定した結果,±3mmの誤差での計測が可能であった。 以上に基づき,マシンビジョン(CCDカメラ),エンドエフェクタ,レーザー距離計から構成されるリンゴ収穫ハンドを開発した。
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