研究課題
特別研究員奨励費
1.磁気流体波動による太陽風、恒星風加速のシミュレーション2003年度まで、波動駆動による太陽風のモデル計算を、定常近似のもと行なってきた。しかし、定常近似では詳細な波動の非線形減衰過程を取り扱うことが不可能であった。そこで2004年度、犬塚修一郎助教授(京大理)との協力のもと、詳細な非線形現象の取り扱いが可能な、非定常シミュレーション研究を行なった。シミュレーションでは、星表面付近から非圧縮モードの磁気流体波動を注入し、その伝搬により、いかにプラズマが加熱加速されるかを調べた。その結果太陽型星では典型的な振幅の波の注入により、大気が自然と100万度以上に加熱され(コロナの形成)、遷音速解となり吹き出していく(太陽、恒星風の加速)ことが分かった。波の減衰過程としては、(i)圧縮性モードの波の生成による衝撃波形成(ii)内向きの非圧縮波動の励起のどちらもが重要な働きをしていることが示された。本結果を、2004年9月に英国で開催された国際会議"SOHO15 Corona Heating"において、口頭発表した.また、詳細結果を学術論文に投稿予定である。2.アルフベン波駆動型の原始中性子星風での、速い中性子捕獲反応太陽風での非圧縮性磁気流体波動(アルフベン波)の研究を、長滝重博助教授(京大基研)との協力のもと、原始中性子星に応用した。原始中性子星から流れ出るプラズマは、速い中性子捕獲反応の格好の舞台であることが示唆されているが、太陽系を始めとする宇宙空間での元素組成を再現した結果は無い。我々は、アルフベン波により、原始中性子星風が速い中性子捕獲反応に都合の良い状態へと改良されることを示した。本結果は、Astrophysical Journalに投稿中である。
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Monthly Notices of Royal Astronomical Society 349,46
ページ: 1227-1227
Astronomy & Astrophysics 428
ページ: 579-579