研究課題/領域番号 |
03J05437
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 幾磨 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 感覚統合的概念 / 概念形成 / 比較認知科学 / 比較発達学 / マルチモーダル / 表象 |
研究概要 |
本研究では、複数の感覚様相の刺激を事例として包含し、かつ上記の想起機能を持つ概念を感覚統合的概念と呼び、これについて比較認知科学的分析を施した。まず、通感覚様相期待違反法を用い、系統発生的位置や生活史の異なる6種の感覚統合的概念を分析した。ある聴覚刺激を呈示した後、その聴覚刺激と一致する、または一致しない写真刺激を呈示する。写真刺激に対する被験体の注視時間を測定し分析する。もし被験体が感覚統合的概念を持つならば、聴覚刺激と写真刺激が一致しない時には期待違反が生じ、注視時間に変化が生じると考えられる。実験の結果、おそらくすべての種が感覚統合的概念を形成しているであろうことが推察された。 さらに、通感覚様相期待違反法に内包される問題を解決するために、遅延見本合わせ課題を応用した方法を開発し、再度リスザルを対象に実験を行った。被験体に飼育者の写真の弁別を訓練した。弁別成績が学習基準を満たした後、テストセッションに移行した。テストセッションでは、テスト試行が訓練試行に挟み込まれた。テスト試行では、見本刺激が消えた後比較刺激が呈示されるまでの間に、見本刺激と一致する、あるいは一致しない音声が呈示される。もし被験体が、飼育者の感覚統合的概念を形成しているならば、不一致条件時には、呈示された音声から被験体が想起した表象が、被験体の見本刺激で呈示された人物についての記憶痕跡に干渉を与えると予測される。つまり、見本刺激と音声刺激が不一致時には、一致時よりも成績が低下すると考えられる。実験の結果、被験体が主飼育者の感覚統合的概念を形成していることが示された。 これらの結果は、概念形成能力に関する比較認知科学的分析をさらに高める上で、非常に重要な一歩となるであろう。今後、多様な動物種の持つ感覚統合的概念を詳細に分析することで、概念形成能力の進化史が再構築できるものと期待される。
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