研究課題/領域番号 |
03J06282
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
馬場 淳子 立教大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 古代文学 / 中世文学 / 物語 / 王朝 / 院政期 |
研究概要 |
古代から中世の過渡期にあたる院政期は、歴史上の転換期であると同時に、物語史においても転換期を迎えたといえる。この時代に『源氏物語』が古典として扱われはじめ、物語が改作されるようになり、『無名草子』のような物語評論がなされたことは、物語史を考える上で看過できない重要な問題である。 平成17年度執筆予定の「院政期物語論」と題する博士論文では、院政期に誕生した現存物語、『今とりかへばや』『有明けの別れ』『松浦宮物語』の三作品の読解を中心に、古代の王朝物語や近年精微になりつつある中世王朝物語を柔軟に展望しつつ、その位相を明らかにしたいと考えている。<隠れ蓑>とは、着用すると姿が見えなくなるという空想上の宝物であり、この<隠れ蓑>による隠形のモチーフは院政期において盛んにもてはやされ、『有明けの別れ』『松浦宮物語』にも天女の隠形の術として取り込まれる。その上で院政期物語は、『今とりかへばや』『有明けの別れ』の異性装や、『松浦宮物語』の分身の術といった、更なる変身の奇想をも生み出すのである。博士論文の中間報告書は今年度末に提出し、無事受理された。今年度発表の論文「鬼と隠れ蓑」や、中世文学会平成16年度春季大会で口頭発表をした「神仏の声を聞く-<隠れ蓑>から<ささやき竹>へ-」なども、博士論文の一部として扱うつもりである。 他に『源氏物語』朝顔巻の鑑賞と基礎知識や第二部の光源氏の人物像に関する論文の執筆、また院政期の「永久四年六条宰相家歌合」の注釈作業にも参加した。こうした経験は、将来的に院政期物語が物語史に類をみない特異な一時代を築いたことについて多角的に論証し、『源氏物語』一辺倒の現在の物語研究に一石を投じる上で、大きな蓄積となった。
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