研究課題/領域番号 |
03J06310
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
菊地 友則 琉球大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 完全不妊 / 巣仲間認識 / ワーカー多型 / 多女王制 / 単女王制 / 包括適応度 / 完全不妊ワーカー / 社会性昆虫 |
研究概要 |
1)完全不妊種の生態調査 巣仲間認識は、社会性昆虫でみられる特徴的な性質であり、これは非血縁個体による利己的産卵(寄生者)を防止するためと考えられている。ワーカーが産卵能力がない完全不妊種では、たとえ受け入れたとしても利己的産卵による適応度の低下は生じない。そのため、受け入れコストが下がり、妊性種にくらべ受け入れやすくなると予測される。そこで、完全不妊種であるPachycondyla luteipesを用いてカースト間の受け入れ頻度を比較したところ、妊性のある女王はほとんど受け入れられなかったのに対し、妊性の無いワーカーは攻撃されずに受け入れられた。このことは妊性の有無が受け入れ頻度に影響をあたえることを示していた。今後は、さらに多くの完全不妊種で巣仲間認識行動のカースト間比較を行い、妊性の有無が巣仲間認識行動に影響を与えるのかどうか調査したいと考えています。 2)完全不妊種の形態調査 ワーカーの形態はコロニーレベルの選択(コロニーの生存率、生産性の向上)と個体レベルの選択(産卵能力の保持)のバランスによって決定されると考えられている。完全不妊種のワーカーは、卵巣が消失しているため個体レベルの選択がもはや働かず、そのためコロニーレベルの選択によってワーカー多型や特異的な形態のワーカーが進化しやすいと予測される。そこで、完全不妊種のPachycondyla luteipesを用いて、女王とワーカーの形態比較を行った。この種のワーカーは単型であるにもかかわらず、女王とワーカーで形が大きく異なり、ワーカーは女王に比べ大きな頭部をもっていた。このような形質はワーカー多型種でみられるが、単型種のワーカーでは初めての報告である。このように、完全不妊種ではワーカーの単型、多型にかかわらずワーカーの大きな形態変化がみられ、これは個体レベルの選択の消失によって、コロニーレベルの選択に影響受けやすいことを示唆していた。
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