配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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研究概要 |
本年度は,左心室の拡張機能および僧帽弁の開口方式が左心室の拍出特性について与える影響について検討を行った.その結果,弁の開口時間が同じであっても,弁開口中の開口形状が異なれば,それが拡張期の血流に影響を与えるだけでなく,その影響は収縮期まで残存し,結果として左心室の効率が変化することが分かった. また,シネPC-MRIを用いて左心室および大動脈の形状およびそれらの内部血流を計測することにより,昨年度までに行った血流計算の妥当性について検証した.結果として,左心室内および大動脈内の血流は大域的には計算により再現できているが,細部においては必ずしも妥当な結果は得られていないことがわかった.特に,下行大動脈内での血流に関して,計算により得られた軸方向の速度分布が計測結果とはあっておらず,これは計算に用いた流入境界条件および大動脈の形状に問題があることが示唆された.そこで,計測において得られたMRI強度画像から形状モデルを,MRI位相画像の速度情報を境界条件として用い,臨床計測情報と計算解析を組み合わせた患者個体別血流解析を行って,計算によって大動脈内の血流を再現するために重要な因子は何であるかについて検討を行った.結果として,大動脈入り口部の血流速度分布は上行大動脈における螺旋流の発達に影響を与えるものの,下流に向かうほどその影響は小さくなることがわかった.また,大動脈弓部のねじれや曲がりといった形状的な要因は流れの剥離に関与し,下行大動脈内の血流に大きな影響を及ぼすことが分かった.その一方で,大動脈弓頭頂部における分岐血管や血管のテーパーが流れに与える影響は局所的であることがわかった.流体力学的観点から大動脈内流れの乱れを定量的に評価するため,Fluid Momentum Indexを提案し,大動脈内流れの評価も行った. 以上の結果について,今年度は2本の学会論文誌および2件の国際会議ならびに2件の国内会議にて広く公表した.また,更に3本の国際論文誌に投稿中であり,2本執筆中である.
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