研究課題/領域番号 |
03J10270
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
冨江 直子 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | 救貧 / 社会事業 / 日本近代 / 政治過程 / 言説分析 |
研究概要 |
昨年度までは、戦前日本の救貧制度の形成過程を「権利と義務」をめぐる言説に着目して分析し、日本近代化の過程で構想され、経験されてきた"個人と「国家」"の関係を明らかにしてきたが、今年度は占領期以降の時代に研究を進めるための資料収集・分析をおこなうとともに、"個人と「国家」(および社会)"の関係を考察するための理論的枠組みづくりをおこなった。 戦前日本では制度的に否定され、それを語るボキャブラリーすら欠落していた個人の基本的権利というものが、占領期には憲法によって保障されることとなり、そして生活保護法の成立により、少なくとも名目上は"基本的人権としての生存権"が確立された。しかし、この「権利」の内容は、戦前の目本において支配的であった"生存の義務"と必ずしも異質なもめではなかった。敗戦直後の日本において、「基本的人権」は、国民の「基本的義務」と不可分のシティズンシップとしての権利として意味づけられていた。 この研究は、「国家」や「社会」という共同体に先立つ個人の権利としての基本的人権と、共同体のメンバーシップであるシティズンシップとの相克に着目しながら生存権をめぐる言説を分析し、日本近代における"個人と「国家」(および社会)"の関係を考察してきた。こうした作業により、戦前・戦後にわたる日本近代史において、個人と共同体どの関係がどのように意味づけられ、それが時代の変化に伴ってどのように変化してきたか、あるいは時代を超えて再生産されてきたかを明らかにしたい。そして、前国家的な"基本的人権としての生存権"というものを、いかにして意味づけることができ、制度的に保障することができるか、という問題を追究していきたいと考えている。
|